顔認証システムの選び方

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近年、生体認証技術の利便性の向上、セキュリティ意識の向上、人工知能(AI)の著しい発展により、世界中の企業が生体認証技術の採用を開始しています。 具体的には、顔認識技術の使用は世界中の幅広い分野で急速に拡大しています。 顔認証技術は現在、身元確認や国家インフラ、取引決済、銀行口座の開設、パスポートの確認など、高い信頼性、利便性、長期使用が必要な分野で使用されています。

October 3, 2019 – by AI Time Journal News Desk

顔認証システムの種類

顔認証システムは大きく2つに分かれます

  • 強い顔認証(大規模顔認証システム)
  • 弱い顔認証(中小規模顔認証システム)

顔認証システムをお選びになる時、これらの違いを念頭に置かないと闇雲に高価なシステム設計になりコストを圧迫します。
顔認証システムの使用用途は何か、どこまでの精度や速度を求めるのか…
その違いが「強い顔認証」と「弱い顔認証」です。

強い顔認証(大規模顔認証システム)

NEC などが構築する様なミッションクリティカルな顔認証システムです。
ミッションクリティカルなシステムとは、例えば空港、ATM 、警察での照合、などのように、
「対象とする人数が桁外れに多く、かつ認証に間違うと多大な被害が出るもの」
を指します。
基礎研究は70年代から始まっておりますのでコスト回収のため費用は高額、また開発したシステムは厳しい仕様に耐えねばいけません。例えば NIST の FRVT の様な試験で一位になる様な実力が求められます。

強い顔認証システムは

  • 値段は高くてもいい
  • ランニングコストも高くてもいい
  • 電話相談窓口や24時間サービスマンのオプションが選べたほうがいい
  • ATM や空港、犯罪捜査の様に絶対に間違ってはいけないが、速度は超高速を求める
  • NIST の上位3位に入っていてほしい(第三者機関のお墨付きがほしい)

この様なときに最適なシステムです。

例えば ATM 、空港、犯罪捜査などでは強い顔認証が求められます。

内部のアルゴリズムは特にデータベースが特化しています。例えば 1 : N 認証の場合、何百万人の中から適合している人物がいるかいないかを 1 秒以内に行います。
人間の顔というものは経験則からだいたい 20 万人を越すと他人の空似が出てきます。対象が何百万人ともなると他人の空似も1つや2つではありません。ですからカメレオンコードなどで認証制度を担保したりといった工夫をしています。

他人の空似
他人の空似の例。姓名に注目。

弱い顔認証(中小規模顔認証システム)

多くの企業が手がける一般の顔認証システムです。
弱い顔認証システムでは十分な精度・速度が行われないかといえば、そうではありません。
実際のスコアではすでに人間の認知能力を超えています
反対に例えば国の全人口をカバーしたり、他民族の 10 年経年変化した顔を判別したりすることは難しいのです。この事が ATM や空港では使われない理由です。

弱い顔認証システムは

  • 初期(開発)コストは安く済ませたい
  • ランニングコストも安く済ませたい
  • しかし警備員(人間)より速度と精度は求めたい

この様なときに最適なシステムです。

もし入退室管理に「強い顔認証」を求めている、具体的には NIST の FRVT の基準を満たす SDK を用いるならばオーバースペック過ぎます。つまり入退室管理という限られた使用範囲の顔認証に

  • 異なる民族の 10 年経年変化した顔を正確に区別することが出来る
  • 2660 万枚のデータベースの中から一瞬で探し当てる(または居ないと判断できる)
  • 別々の人物の顔を同じ人物と誤って判別してしまう確率が 0.25% 以下

という性能を求めていることになります。はたしてその部屋には 2660 万人も入るのですか?その部屋に様々な民族の方が入るのですか?しかも登録写真から10年もたった古いデータを使いまわしてそれでも本人確認が出来るような性能を求めていますか?
具体的に困るのはその費用と初期コストです。

例えば小売店の万引き防止や病院の入退出や電子カルテのセキュリティ・マンションなどのセキュリティ、タイムカードなどの勤怠システム、パスワードなどを併用した入室管理などでは、弱い顔認証システムの使用が望まれます。

私達、東海顔認証がご提供する顔認証コアシステムは、「弱い顔認証システム」です。一般使用用途でのコストを抑えた運用に適しています。

下に弱い顔認証(FACE01 GRAPHICS ver.1.2.5)の使用例を載せました。
「弱い」というフレーズでネガティブな印象を受けますが、これだけの性能を持っています。

顔認証システムを導入する参考にしてください。