大企業による顔認証市場独占の終わりと住み分け化

オリンピック開催にむけて、空港や開催施設で顔認証システムを使ったゲートが話題になっています。
またコロナウィルス大流行の只中で、「検温できる顔認証システム」が予想を超えた売上を打ち立てております。

顔認識ソフトウェアの歴史は意外と古く、1960年代から開発を続けている企業もあります。今では当時のマシンスペックでは到底難しかったような高精度な顔認識ソフトウェアが開発され、様々な用途で使うことが可能になりました。

顔認識ソフトウェアは様々な企業、一部海外の大学などで研究されており、世界大会も開催されています。その技術進歩は凄まじく、数年前の世界記録はすぐに塗り替えられてしまうほどです。

大企業の独占

顔認識ソフトウェアの開発において重要な役割を占める深層学習は、俗に AI と呼ばれています。AI の開発には今までは大きな金銭的資源がないと開発できなかったため、限られた大企業や海外の一流大学でしか開発できないものでした。

更に悪く、大企業は顔認識ソフトウェアから最終成果物である顔認証ゲートなどまで一貫して開発できることから、多くの中小企業の入り込む隙間はなく、まさに独占状態が続いていたと言えます。

また、羽田空港にはパナソニック、成田空港には NEC が導入されるなど、大手企業間でもデファクトスタンダードをめぐり水面下での熾烈な戦いが繰り広げられていることも推察されます。

顔認識技術のコモディティ化

大企業がデファクトスタンダードを巡って熾烈な戦いをしているのには理由があります。それは顔認識技術が技術の発展とともに容易に開発・実装ができるようになることを予見しているためです。技術の進展はめざましく、一般の大学でも深層学習が容易に開発できるようになり、その成果物はオープンソースとして公開されました。

東海顔認証が開発した Face01 (フェイスゼロワン)は、こうしたオープンソースソフトウェアをベースとして開発されました。顔認識率は 99.38% 以上で、 2017 年当時の最高峰の精度を誇ります。具体的には、マサチューセッツ大学アマースト校が提供している Labeled Face in the Wild を対象にした顔認識において99.38% 以上で誰の顔か認識することができる、というものです。

こうしたソフトウェアを用いれば、顔認証ゲートなども中小企業が開発できるようになり、顔認識技術関連の市場はコモディティ化をしていきます。

顔認証分野の住み分け

このようなコモディティ化のなか、顔認証システムそのものは「住み分け化」が進んでいます。
すなわち、大掛かりなシステムと一般用とのシステムです。これは顔認証システムを考える時に非常に重要な概念です。大掛かりなシステムは俗に「強い顔認証(大規模顔認証システム)」と呼ばれミッションクリティカルな分野に使われれます。反対に一般用途では「弱い顔認証(中小規模顔認証システム)」が採用されます。限られた使用範囲で人間よりも正確な判断を求められる時に用いられます。これらについては「顔認証システムの選び方」で詳しく解説しております。

顔認証分野の住み分けは「作る製品の使用用途や使用範囲」でも解説しました。ご参照ください。そのページから引用を下に載せます。

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もし入退室管理に「強い顔認証」を求めている、具体的には NIST の FRVT の基準を満たす SDK を用いるならばオーバースペック過ぎます。つまり入退室管理という限られた使用範囲の顔認証に

  • 異なる民族の 10 年経年変化した顔を正確に区別することが出来る
  • 2660 万枚のデータベースの中から一瞬で探し当てる(または居ないと判断できる)
  • 別々の人物の顔を同じ人物と誤って判別してしまう確率が 0.25% 以下

という性能を求めていることになります。はたしてその部屋には 2660 万人も入るのですか?その部屋に様々な民族の方が入るのですか?しかも登録写真から10年もたった古いデータを使いまわしてそれでも本人確認が出来るような性能を求めていますか?
具体的に困るのはその費用と初期コストです。「強い顔認証」は多くの計算資源を使いますのでエッジデバイスなどでは使えません。
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上記のページでは「FAR, FRR」などにも触れていますのでぜひご覧ください。

最後に

最後に、東海顔認証が開発した Face01 シリーズを使ったデモ動画を掲載します。どのように動作するのかをご覧ください。

マスクをしたまま顔認証

新型コロナでマスクをつけることが常態化した現在、マスクをつけたまま顔認証できることは基本機能になりました。「弱い顔認証」の製品の中でも発売されるとニュースになるような時代ですが Face01 は対応しています。

マスクをしたまま顔認証する様子

顔が色々な向きでの非積極認証

非積極認証とは顔が正面を向いているとは限らない時の認証です。ウォークスルー認証には欠かせない性能になります。

Face01_1.0.4 の出力例

全体の処理の様子

全体像は以下のようになります。
登録されていない顔は全て赤文字・赤枠で「未登録」と出ます。下の検証動画では米俳優のモーガンフリーマンさんだけを登録してあります。その他観客の方々も動画中に出てきていますが全て赤枠になっています。
これは「本人拒否率」が低く「他人受入率」も低いことを証明しています。

Face01_CNN が動作する様子

以上です。

最後までお読み頂きありがとうございました。

関連記事:「顔認証システムの選び方

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