顔認証システムの構築とオープンソース

はじめに
私達東海顔認証がリリースしている Face01 シリーズは全てオープンソース ( OSS ) のライブラリを基盤としています。
オープンソースとは、そもそもなんでしょうか。
一般の方ならば「Firefox」とか「LibreOffice」とかを想像するだろうし、IT 関連にお勤めの方でしたら「MySQL」とか言語系を想像されると思います。
もしある会社で「オープンソースを使って(顧客に出すレベルの)顔認証システムを構築しよう」と企画が上がったらどうでしょう。
恐らく企画を任された方は Github をこまなく探して大量のライブラリに困惑することでしょう。
またどのライブラリを使ったらどのような結果になるのか…、目星をつけたものから小さなテストプログラムを作って実際に動かしてみる事と思います。そして、「これは使えるかも!」と思ったライブラリで構築するもののある程度のボリュームを作ったところで「日本語が通らない!」、「速度が全く出ない!」、「ライブラリのバグなのか自身が作り上げたバグなのか分からない」、「商用不可のライセンスだった」など問題に直面し最初からやり直すことになります。そしてある日上司の方に「出来た?」と聞かれるものの目立ったものが作れず…という報告を出すことになるかも知れません。その時点で見えないコストはどれくらいになるのでしょうか。
形になったものを使う方が早い
ですので、膨大なライブラリから探してきてしらみつぶしに…ではなく、ある程度形になっているプログラム( SDK 等)を購入、そこからインターフェイスやデータベースを追加で開発した方が断然早くコストもかかりません。また認証処理の検証も処理済みですので時間と労力を使う手間が省けます。
このような流れで Face01 シリーズは生まれました。
シリーズとはいえ最初はスタンドアロンで防犯目的に使う Face01_Graphics のみの提供でした。しかしながら顔認証システムの使用用途はかなり広く、従来の Face01_Graphics だけでは使いづらい面も出てきました。
そこでシリーズとして「帯域やマシン負荷を圧迫しない Face01_Imager 」や「通った人のユニーク数を数える Face01_List 」が生まれました。すべてシステムインテグレーターの方々から「こんなことは出来ないの?」のお声から誕生したものばかりです。
各記事で環境設定の解説をしています
今使われている顔認証システムのほぼ全てが商用かオープンソースの深層学習を使ったライブラリを使っているはずです。
Face01 シリーズもまた、深層学習ライブラリとそこから得られたひと塊のデータを使っています。いわば「巨人の肩に乗る」形で作られており、またライブラリ自身も開発の活発なものばかりを選びそれらが複雑に絡み合っています。
例えば CUDA 。導入方法は以前紹介いたしましたがかなり複雑で環境構築は「簡単」ではないと思います。
東海顔認証では出来る限り現場で環境設定できるように
- Windows 10 での環境設定
- Ubuntu 18.04.4 での環境設定
- 各フォルダなどの解説
- CUDA 等ライブラリの導入方法
- CPU 命令セットの導入方法やライブラリ更新方法
- テストスクリプトなどでの簡単な初め方
- 性能検証、比較検証
- 他
を各記事にて解説しています。
今日本全国でコロナウィルスが流行していますが、こうした「普通ならブラックボックス」な部分もお客様と共有できるようにしてソーシャルディスタンスが保てるようにしています。
品質を更新し続ける
Face01 シリーズは日々アップデートを繰り返しています。以前送らせていただいたサンプルプログラムが、もう古いものになってしまったのか…という感じに「目につくところは更新する」姿勢をずっと貫いています。
中には古い記事、古いサンプルスクリプトになってしまっているところもあります。
重要なところには追記という形で更新させて頂きますのでご安心ください。
情報を提供し続ける
顔認証は生体認証です。生体認証について誰もが同じように詳しいわけではありません。
ですので各記事を通して解説を続けていきます。たとえば
- 医療における情報化と生体認証
- 3D顔認証の弱点
- 顔認証システムとプライバシー問題について
- 生体認証(バイオメトリクス)ビジネスは瓶の形
- 顔認証技術の今後の動向(1)〜 (3)
- 顔認証システムの選び方
- NIST とは何か、NIST と NEC
- 他
です。各記事とも充実しておりますので安心して Face01 シリーズを使っていただけるものと思います。
またお問い合わせフォームから頂いた疑問点なども記事に起こすなどしてより多くの方の疑問に答えられるように務めています。
中国由来の技術・データを含みません
米中関係の悪化により日本企業が名指しで非難を受けることも出てきました。中国由来の商用ライブラリや製品には潜在的にセキュリティリスクがあるとアメリカ当局が発表しています。
かつては中国企業の顔認証システムの実績は素晴らしいものがあり、商用ライブラリを中国系企業から購入したり共同開発をしたりという事が当たり前の時代がありました。
ところが 2020 年中頃からセキュリティリスクが叫ばれ始め「これ以上の使用はリスクが大きい」と判断されつつあります。また人権に対しても各国から非難を浴び、どのように顔モデルを構築したのかが問われています。
東海顔認証では当初からこの様なリスクを避け構築しています。詳しくは「中国由来の顔認証技術にはリスクがある」をご覧ください。セキュリティリスクのない、そして人権侵害とも無縁なクリーンなシステムです。
以上です。
みなさまのお役に立てることが出来れば幸いです。