顔認証技術の今後の動向(2)
前回では主に顔認証のメリットいついてお話させていただきました。確かに顔認証には無限の可能性がありますが解決していかなければならない問題も存在します。
そもそもにバイオメトリクス認証(生体認証)とは何でしょうか。ここに代表的なバイオメトリクス認証の例とその特徴量をあげます
代表的なバイオメトリクス認証
- 指紋
指紋の分岐点、端点 - 掌形
掌の大きさや指の長さ - 顔
目や鼻の配置や形 - 虹彩
虹彩の紋様 - 静脈
手のひら、指の静脈のパターン - 声紋
音声の特徴 - 署名
書き順、筆圧、スピード
バイオメトリクスとしての顔
人間は顔によって相手を認識しています。バイオメトリクスの中では顔が人間にとって最も馴染みやすい技術と言えます。登録情報としての顔画像と認証時に撮影される提示情報としての顔画像とでは撮影条件が異なるため、単純な画像マッチングではなく様々な特徴を抽出して照合する必要があり、画像処理で人間が行うのと同レベルの認証制度を実現することは一般的に難しいとされています。
また、一卵性双生児の識別可能性、眼鏡や髪型が認証制度に及ぼす影響への対応が不十分であり、なりすましなどに弱いという問題があります。また顔認証システムにおいてはカメラの特性と言うより照明条件・顔の角度など撮影条件による認証制度の劣化が著しい特徴があります。ですので顔認証エンジンには各社の工夫がふんだんに盛り込まれています。また計算機としてのリソースを極限まで使い空港などにも適用可能なものと、マンションやオフィスの入退室管理などに使う顔認証の2タイプに分けられます。(顔認証システムの選び方)
これからのバイオメトリック技術のポイント
生体認証はパスワードやカードなどの本人認証技術と異なり、画像処理などにより特徴量空間における類似度でもって本人性を「統計的に」判別するため、その精度は100%ではない。これは全世界共通の大原則です。
このため誤認識の発生を前提にシステム構築する必要があります。
マルチモーダル生体認証技術
指紋や署名、顔、声紋などのバイオメトリクスは100%の認証結果を出せない。そのためこれらのバイオメトリクスを2つ以上使い各バイオメトリクスの照合結果を用いて「融合判定」により総合的に個人の識別を行うものです。
またバイオメトリクス同士を掛け合わせるのではなく、バイオメトリクス+暗証番号や、バイオメトリクス+ICカードなども現実的解答と言えます。
特に注目すべきは「2次元顔認証+ICカード」の組み合わせです。ICカードに本人の顔認証データを登録しておくことで、紛失しても他人が使うことが出来ず更に既存の技術でとても安価に製作可能です。